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【あなたの脚本が上達しないのは〇〇が原因】『3年でプロになれる脚本術』を要約・解説

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みなさんこんにちは、ムービー3分クッキングの時間です。

脚本家を目指すみなさんはこんな悩みを持っていないでしょうか?

  • コンクールに何度応募しても一次審査すら通らない
  • 自分の作品の良さを誰にもわかってもらえない

私も何年もシナリオコンクールに応募しても一次審査すら通らず、ようやく通い出した脚本スクールで「これは世界で1番面白い作品だ!」と提出した作品を先生に酷評されて絶望した経験があります。

「自分には才能がない。もう脚本家になるのは諦めよう」

そう思ったときに出会ったのが今回紹介する本、尾崎将也著『3年でプロになれる脚本術』でした。

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この本を読んで、今の自分に何が足りないのか、脚本家になるために何をすべきなのかが明確になりました。

この記事を読めば、私のような悩みを抱えているみなさんの役に立てること間違いないので、最後までお付き合い下さい。

本書の結論

まず最初に本書の結論をお伝えしておきます。

結論:プロの脚本家になるには自分の作品を客観視できなくてはいけない。そのためにはアウトプットと並行して適切なインプットを行うこと。それが脚本を上達させる最も効果的な方法。

具体的にどのようにインプットしていけばいいのでしょうか?

本書の内容を深掘りしていきます。

初心者によくある勘違い

この本の著者である尾崎将也さんは1960年生まれ、1992年に「屋根の上の花火で」第5回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。代表作に「アットホーム・ダッド」「結婚できない男」など、現在でも第一線で活躍する脚本家であり、同時に日本脚本家連盟の脚本スクールの講師でもあります。

そんな大勢の生徒を持つ著者は、初心者は脚本が誰にでも書けると勘違いしがちであると言います。

脚本は誰もが読める日本語で書かれています。そのため誰にでも書けると思ってしまいがちです。しかし、それによって出来上がった作品は脚本ではなく「脚本のようなもの」に過ぎません。

まさに「自分の作品は世界一面白い」と思っていた当時の私です。

では、脚本のようなものしか書けない人は、才能がないと諦めるしかないのでしょうか?

欠点を認めることから脚本家への道が始まる

脚本のようなもの」と「脚本」の違いは作品を客観視できているかにあります。

例えば初めて録音した自分の歌を聴いたとき、「自分はこんなに下手で変な声なのか」をショックを受けた経験があると思います。

脚本の場合もそれが起こります。誰でも書けてしまうが故に自分の作品の欠点が見えにくく、プロとの違いが分かりにくいのです。

あなたの作品が見向きもされないのは、あなたに才能がないからではありません。

あなたは自分の作品を客観視できていないだけなのです。

そしてそれがわかった今、あなたは初めて脚本家になる道が始まったのです。

映画を観て分析する

では自分の作品を客観視するための具体的な方法とは何でしょうか?

それは他人の作品を客観視してみること、つまり映画を分析するというインプットを行うことです。

いい映画をたくさん観ることが脚本の勉強になるという認識は誰もが持っていると思います。しかしただ観るだけでは効果は限られてしまいます。

「あの場面、すごい面白かった」だけでは、自分の脚本に活かすことはできません。

面白いという感覚的なものを「なぜ面白いのか」論理的に分析し、頭に蓄積し定着させることが大切なのです。

映画分析の方法

次にどのように分析すればいいのか具体的に解説していきます。

手順は

  1. 構成表(逆バコ)を作る
  2. ストーリーの流れをつかむ
  3. ストーリーの本質を把握する

の3つです。それぞれ解説していきます。

分析の際の注意点

映画分析に入る前に注意点をひとつお伝えします。

それは、初めて観る映画を分析してはいけないということです。

1度目は素直に観客として鑑賞してください。どこが面白く、どこで感動したかなど、まずは観客としての感想を持つことが大切です。

いきなり機械の図面を見ても複雑な電子回路の集まりにしか見えませんが、その機械を一度使ってみることで「あれをこうするとこう動くんだ」とより鮮やかにイメージすることができますよね。

分析するものは一度観て面白いと感じた映画を扱うようにしてください。

構成表(逆バコ)を作る

まずは構成表を作る作業から始めます。

映像を再生しながら「どんなシーン」が「どんな順番で」並んでいるか書いていきます。

つまり「ハコ書き」を書くということです。すでに完成している作品をハコ書きに起こすので「逆バコ」と言ったりします。

ハコ書きとは

シーンごとに場所、登場人物、出来事などを簡潔に書いたもの。普通は脚本の構成を考える目的で書く。

例として『ローマの休日』の構成表を作ったので、冒頭部分を載せておきます。みなさんの構成表づくりの参考にしてください。

『ローマの休日』構成表

◯ ニュース映像
 アン王女、ヨーロッパの親善旅行でロンドン、パリを訪問。
 過密スケジュールの中、笑顔で公務に当たるアン王女。

◯ ローマの舞踏会会場
 大勢の招待客に挨拶するアン王女。
 アン王女、ドレスの下に隠れて右の靴を脱ぎ、疲れた足をさする。
 バランスを崩した拍子に靴を倒してしまう。

◯ 大使館・王女の寝室(夜)
 寝巻き姿、疲れた様子のアン王女。
 城の外では音楽に合わせてダンスをする人々。
 伯爵夫人に明日の過密スケジュールを説明される。
 ヒステリーを起こすアン。医者が来て鎮痛剤を打たれる。
 城を抜け出すアン。

◯ とある部屋
 ポーカーをする新聞記者のジョー、カメラマンのアービング、他数人の男。
 明日、アン王女の記者会見が11時45分からある。

○ 道
 ジョー、鎮痛剤で寝ているアン王女を見つける。
 ジョー、タクシー転手にアン王女を送り届けるように言うが断られる。
 仕方なく自分の家へ連れて帰るジョー。

ストーリーの流れをつかむ

構成表ができたら、それをよく眺めてみましょう。

観客として作品を鑑賞するのとは違い、俯瞰して作品をみることができます。

構成表を客観的に見ながら、次のようなことを確認します。

  • 主人公は誰で、どこで登場するか
  • 2番目の人物は誰で、どこで登場するか
  • 主人公はどんな葛藤を抱え、どんな危機に直面しているか
  • その葛藤や危機をどうやって乗り越えるのか
  • ストーリーの転換点、クライマックスはどこか
  • ストーリーを起承転結や三幕構成に分けるとどうなるか

このほかにも登場人物が多い場合は構成表とは別に、人物の相関図などを作ってみるのもいいです。

この作業はストーリーの流れをつかむことが目的です。

最初のうちは「流れがわかったからって何になるの?」と感じるかもしれませんが、数をこなすうちにストーリーや構成というものが腹に落ちた状態になり、「ここでこうなったら、次はこう展開していく」とストーリーの型が身につくようになります。

ストーリーの本質を把握する

ストーリーの流れをつかむことができたら、最後はストーリーの本質を把握する作業を行います。

分析の作業においてストーリーの本質を把握することは最も大切なことです。

具体的にどうするかというと、

  • ストーリーを3行で言い表す
  • ストーリーを10〜15項目に箇条書きする

この2つを行います。

「ストーリーの本質を把握するのなんか簡単だ」とみなさんは思うかもしれません。

著者はよく脚本の生徒に「自分のストーリーを3行で表してみて」「箇条書きにしてみて」と質問するそうです。しかしほとんどの生徒はきちんと3行で答えることはできず、的外れな答えをしたり、原稿を見直さないと箇条書きにすることはできないそうです。これは先ほども話した「自分の作品を客観視できていない」という話に通じます。

つまり自分の作品ですら、ストーリーをきちんと把握することは難しいのです。

まして他人の作品を把握するのですから、最初のうちは苦戦すると思います。

ストーリーの本質を把握するポイントは、

  • 不要な部分を徹底的に削ぎ落とす
  • 肝心なところは具体的に

の2点です。

不要な部分を徹底的に削ぎ落とす

本質が理解できていればストーリーの不要な部分が見えてきます。つまらない映画だと不要な部分が多く、面白い映画は削ぎ落とすところが見つからないほど本質に関係するシーンばかりであることに気づきます。

肝心なところは具体的に

『愛の不時着』を「韓国人と北朝鮮人のラブストーリー」と抽象的に捉えるだけでは脚本を書くことはできません。「韓国人と北朝鮮人の、争う国どうしの国境を越えたラブストーリー」と具体的に捉えられるようになって下さい。

まとめ

まとめ
  • 脚本が上達しない理由は、脚本が簡単に書けると勘違いしてしまうことにある
  • アマチュアとプロの違いは自分の作品を客観視できるかどうか
  • まずは映画をたくさん分析することで作品を客観視する力を身につける
  • 分析の手順は、1構成表(逆バコ)を作る、2ストーリーの流れをつかむ、3ストーリーの本質を把握する、の3ステップ
  • 特に大事なのは3ストーリを把握すること。ポイントは、1不要な部分は徹底的に削ぎ落とす、2肝心なところは具体的に、の2つ

本書は脚本で思うような成果が出ない人のための本です。思うような成果が出ずに伸び悩んでいる人には必読の本と言えるでしょう。

今回は本書の「インプットの重要さとその方法」について紹介しましたが、本書にはそのほかにも「映画百本ノック」として著者が選ぶ分析するべき映画が紹介されていたり、インプットしたものをアウトプットに変換する方法などが書かれています。気になった方はぜひ手に取ってみて下さい。

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