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物語を書くうえで人生経験は必要なのか?【結論:必要ない。しかし〇〇は必須】

シナリオ

みなさんこんにちは、ムービー3分クッキングの時間です。

  • 脚本を書くのに人生経験は必要なんでしょうか?

こんな質問が届きました。

  • 男だから女性が主人公の話が書けない」
  • 「結婚してない私に夫婦生活の話が書けるんだろうか」
  • 「引きこもりだった私に学生の青春ストーリーが書けるはずない」

私も人生経験はまだまだ未熟なので、経験したことのないことについて書いていると、

  • 経験者がこれ読んで嘘くさいと思うんじゃないか
  • 自分が書かなくてもいいんじゃないか

と今でも不安になることがあります。

しかし最近、この質問に対する素晴らしい回答している本に出会いました。

その本は三浦しをん著『マナーはいらない 小説の書きかた講座』です。

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三浦しをん氏は2000年にデビューし、2006年に直木賞を受賞して以来数々の賞を受賞し、その多くが映像化されるほどの人気小説家です。

そんな著者が長年の作家経験を活かして「小説の書き方」について書いたのが本書です。

本書で三浦氏は読者からの

「小説を書くのに人生経験は必要だと思いますか?」

という質問にこう答えています。

「小説を書くのに実人生で豊かな経験は必要ないが、小説を書くのに必要な言語(想像力)は時間を費やし経験を重ねて獲得していくほかない」

つまり、人生経験より想像力が大事であり、想像力を得るためには時間と経験が必要だということです。

これは小説だけでなく脚本にも当てはまることだと思ったので、これからみなさんに詳しく説明していきます。

人生経験には限りがあるが想像力に限りはない

たしかに物語を作る上で経験がないよりはあった方がいいに決まっています。

しかしそれには限界があります。

それに「人殺しの物語を書くために人を殺した経験がなくてならない」という理屈はどう考えてもおかしいですよね。

もちろん人を殺さなくても人殺しの物語は書けます。

なぜなら、私たちには想像力というものが備わっているからです。

テレビで報道されるニュースを見て「ひどいことがあるもんだ」と怒りや悲しみを覚えたり、

映画やドラマを観て主人公の人生を追体験するような気持ちになったりと、

想像力によって私たちは「自分」という壁を越えて、会ったことのないひとや架空の人物にも思いを馳せたり思い入れたりすることができます。

では、想像力を得るには一体どうすればいいのでしょうか?

想像力を構成する大きな要素は言語である

「想像力を鍛えるには言語能力を磨こう」これが三浦氏の主張です。

想像力の源泉は「他者への思いやり(共感力)」と「知識」であり、これらは言語能力によって統合されている

と三浦氏は分析します。

  • 「難しくて言ってる意味がわかりません」
  • 「知識が言語と関わりがあるのはわかるけど、思いやりは感性によるものじゃないの?」

他者を思いやることは一見、感性によるものだと思いがちです。

しかしよく考えてみてください。

  • 「今あの人はこう感じているんだろうな」
  • 「だったらこんな言葉をかけてあげよう」

と私たちが想像力を働かせるとき、常に言語を使っていますよね。

私たちは言語によって何かを感じ取り、言語によって思考し、自分の中で言語化して外に出すことを繰り返しながら生きています。

つまり言語能力が高くなるほど、想像力も豊かになっていくんです。

あなたがなんの言葉も理解できない赤ちゃんの頃はの気持ちを理解することはできなかったはずです。

そこから少しずつ言葉を覚えながら、相手の気持ちを理解できるような想像力を身につけていったのです。

言語とは一生かけて磨いていくものである

みなさんは生まれてから数十年言語を使ってきています。

なので母国語は完璧にマスターしたとタカを括りがちです。

ですが考えてみれば全然そんなことはなく、

  • 言葉が足りない
  • 余計なことを言ってしまう
  • 自分の気持ちを思うような言葉にできない

こういう失敗は今でもしてしまいますし、これからもしていくと思います。

私たちが相手に何かを伝える際には言語だけではなく、表情や仕草によって気持ちを伝えています。

しかし小説や脚本は言語のみで自分を表現しなくてはなりません。

これはみなさんが思っているよりも大変なことなんです。

スポーツや音楽などの分野では若い頃から才能を発揮する人がいるのに対して、

「十代前半で後世に残る小説や脚本を書いた」

という人はほとんど聞いたことがないのも、言語で考え、言語だけでそれを表現することの難しさを示していると思います。

私たちは、

  • 他者の気持ちに想いを馳せ
  • 失敗や試行錯誤の経験を積み重ねながら

言語能力、すなわち想像力を一生かけて磨いていくものなのです。

まとめ

今日のまとめです。

  • 物語を書くうえで必ずしも人生経験は必要ではない
  • 必要なのは想像力である
  • 想像力を構成する大きな要素は言語能力である
  • 言語能力を獲得するには時間と経験が必要
  • 他者の気持ちを想像し、試行錯誤しながらそれを言語化する経験を通し、一生かけて想像力を磨いていかなくてはならない

本書は小説を書いている人に向けた内容になっていますが、脚本を書いている人はもちろん、文章を書いているすべての人に刺さる内容になっていると思います。

今回紹介した話の他にも、

  • タイトル発想法
  • 文章を書き進めるコツ
  • 構想から執筆までの話

など、三浦氏の作品を例にして解説されているのでとても参考になります。

気になった方はぜひ一読してみてください。

以上、最後までお付き合いありがとうございました!

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