これからシナリオライターを目指す方々にとって、どうやってシナリオを書けばいいのか、どのように始めたらいいのか、何に注意すればいいのかなど、わからないことばかりだと思います。
そこで今回はシナリオを書くにあたって必要なことを網羅的に解説します。
長い記事になりますが、この記事さえおさえておけばプロの脚本家になるための基本知識はすべてインプットできます。
初心者から中上級者まで役に立つ内容になっているので、最後までお付き合いください。
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いい作品を書くためには、とにかく書くことが大切です。
しかし、プロの脚本家になりたいのであれば、書くことと同じくらい作品を観ることが大切です。
より多くの作品を観ることで、
- プロのシナリオの手法を学ぶことができる
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といった効果を得ることができます。
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シナリオの基礎知識
まずはシナリオを書くのに知っておくべき基礎用語を10個紹介します。
すでに知っているという方もこの機会にもう一度確認してみてください。
1 シナリオ
物語やドラマなどを書くための脚本のこと。登場人物や舞台、ストーリーの流れなどを記述する。
2 登場人物(キャラクター)
物語やドラマに出てくる人物のこと。主人公や敵役、脇役などが含まれる。
3 設定
物語やドラマが行われる場所や時代の設定のこと。時代背景や場所の描写が含まれる。
4 プロット
ストーリーの骨子や流れを表したもの。物語の全体像をつかむためのもの。
5 構成
物語やドラマの構造や配置のこと。プロットや登場人物の配置、シーンの並びなどが含まれる。
6 シーン
物語やドラマの1つの場面のこと。
7 柱
シーンの場所や時間を指定する重要な要素。「○ 公園(朝)」のように書く。
8 セリフ
登場人物たちが話す言葉のこと。セリフは登場人物の性格や感情、設定を表す重要な要素。
9 ト書き
物語やドラマで必要な場所や物の描写のこと。読者や視聴者にイメージを伝えるための重要な要素。
10 視点
物語やドラマを描写する視点のこと。主観的な視点や客観的な視点、1人称視点や3人称視点などがある。
シナリオの基本が知りたいという方はこちら↓
シナリオの書き方
ここではシナリオの具体的な書き方について解説します。
初心者の方がいきなり書き始めると最後まで書けなかったり、何枚も書いた後にボツになるというケースが多くあります。
そのような失敗をしないように、ここではシナリオを書く前にすることから書くときのコツや注意点まで詳しくお伝えします。
シナリオの書き方は人によって異なりますが、まずはここで紹介する書き方を参考に、自分なりの書き方を見つけてみてください。
着想を得る
シナリオを書くにあたって、まずはとっかかりとなるアイデアを出す必要があります。
アイデアが浮かばないときは、時間を設けて意識的にアイデアを出す作業をすることが効果的です。
例えば、30分間集中してアイデアを出すためのノートを取ったり、アイデア出し用のアプリを使ったりしてみましょう。
また、好きな映画や小説、音楽、絵画などを見たり、読んだり、聞いたりして、感銘を受けたものを自分なりに解釈し、発展させることで良いアイデアが浮かぶこともあります。
そのほかにもブレインストーミングという方法もあります。
複数人で集まり、アイデアを自由に出し合い、アイデアを掛け合わせたり、発展させたりすることができます。
それでもアイデアが浮かばないときは、別のことをして気分転換しましょう。
焦ってもストレスが溜まるばかりで良いアイデアは出ません。
逆に脳がリラックスしている状態の方が良いアイデアは出やすいです。
取材をする
作品をよりリアルなものにするためには、扱うテーマや舞台についての情報を収集し、それをシナリオに取り入れることが効果的です。
ネットや書籍などで理解を深めるのはもちろんですが、実際の場所に行ったり、登場人物と同じ境遇の人物に会って話をすることで、想像だけで書くよりも実感を持って作品に取り組むことができます。
・取材の注意点
取材をする際はその目的と何について知りたいのかを予め明確にしておく必要があります。
人に話を聞く場合も質問を用意しておくことはもちろん、特にセンシティブな内容を尋ねる場合などは相手の気持ちやプライバシーに十分配慮しましょう。
また、取材を通じて得られた情報全てをシナリオに取り入れようとすると、かえってストーリーをわかりづらいものにしてしまいます。伝えたいテーマとのバランスを考えて適切な情報の取捨選択を行うことが重要です。
構成の立て方
構成とはストーリーを観客に伝わりやすくするためのシナリオの骨組のことです。
どんなに家具にこだわっても骨組みがしっかりしていない家に住むことはできないように、シナリオにおける骨組みも非常に重要な要素です。
以下に、構成の立て方に関するコツと注意点を3つ紹介します。
1 シナリオの目的を明確にする
まず、シナリオの目的を明確にすることが重要です。どのようなメッセージを伝えたいのか、どのようなエモーションを観客に与えたいのかを考え、それに向けてストーリーを構成していきます。
目的が明確でないとストーリーがブレてしまったり、観客に伝わりにくい作品になってしまいます。
2 三幕構成を意識する
シナリオの構成には、一般的に多く用いられる三幕構成という方法論が存在します。
この三幕構成どおりにシナリオを構成すれば、大失敗するということはありません。
三幕構成とは物語を三つの段階に分けて展開する方法論の一つで、「設定」「対立」「解決」の役割を持ちます。
序盤で物語上のルールや主人公の目的を提示し、中盤でその目的を阻害するものとの対立を描き、終盤でそれを乗り越え、目的を達成する。このような展開を取ることで、観客を飽きさせることなくスムーズにストーリーを伝えることができます。
ただし、ストーリーによっては必ずしも三幕構成が当てはまるというわけではありません。
三幕構成をベースにしながらも、強引に当てはめることは避け、目的にあった構成を探すことも大切です。
三幕構成について詳しく知りたい方はこちら↓
3 結末を明確にする
ストーリーの結末を明確にすることも重要です。
結末が曖昧なままだとストーリーが散漫になったり、途中の展開に詰まって書けなくなることがあります。
しかし物語がどこで終わるのか、どのようなエンディングを用意するのかのゴールを考えていれば、それに向けてストーリーを構成していけば良いので、比較的楽に構成を立てることができます。
ストーリーの作り方について詳しく知りたい方はこちら↓
キャラクターの作り方
キャラクターは、シナリオライティングにおいて非常に重要な要素です。
キャラクターが弱いと物語は平面的になってしまい、観客に興味を持ってもらうことができません。
しかし魅力的なキャラクターを作ることができれば、観客はキャラクターに感情移入し、「これは私の物語だ」と感じストーリーの没頭してもらうことができます。
以下に、共感されるキャラクター作り方のコツや注意点について説明します。
1 過去や性格、目的などを掘り下げる
キャラクターをより魅力的にするためには、過去や性格、目的などを具体的に描写することが大切です。
例えば、過去のトラウマや苦悩、目的達成のための熱い思いなどを描写することで、よりキャラクターに生き生きとした印象を与えることができます。
シナリオを書く前にこの登場人物はこれまでどのような人生を歩んできたかという履歴書を書く脚本家の方もいます。
2 ストーリー上の役割を持たせる
どれほど生き生きとしたキャラクターでも、ストーリー展開とは関係のない存在であれば観客にシナリオのメッセージが届きづらくなってしまいます。
そこで登場させるキャラクターには必ず何らかのストーリー上の役割を持たせましょう。
具体的にはライバル関係や恋愛関係など、主人公との関係性を設定することで役割を持たせることができます。
関係性を設定することで対立や葛藤が生まれ、ストーリーに深みを出すことができます。
しかし複雑にし過ぎると観客を混乱させてしまうので注意が必要です。
キャラクターの作り方について詳しく知りたい方はこちら↓
セリフの書き方
セリフはキャラクターの性格や心情、ストーリーの進行や展開、その他の情報を伝えるための主要な手段です。
以下に、セリフを書く際のコツや注意点を紹介します。
1キャラクターの性格や口調に合わせる
セリフはそれを発するキャラクターの性格や口調に合わせて書くようにしましょう。
例えば、クールで無口なキャラクターが訳もなくおしゃべりになったり、それまで「あなた」と言っていたキャラクターが急に「お前」「てめえ」といった口調になることは避けましょう。
2 わかりやすくする
小説のセリフは手を止めて意味を調べたり、何度も読み返すことができます。しかし映像でのセリフは基本的に一度しか聞くことはできません。
そのため難しい言い回しや聞き取りにくいセリフがあると、観客は置いて行かれてしまいます。
そうならないために簡潔なセリフを意識し、書きながら実際に声に出してみることで聞き取りやすいセリフを書くことができます。
3説明的にならないようにする
「観客に状況や設定を説明したい」「ストーリーを展開させたい」そう思うあまりセリフが説明的になってしまい、作者に言わされている不自然なセリフが出来上がってしまいます。
そうならないためにはキャラクターの感情を想像し、「自分がこのキャラクターならどんなセリフを言うだろうか」と意識しましょう。
また説明はセリフだけに頼らず、ト書きも活用しましょう。
例えば、主人公が怒るシーンを書くとして「私は怒っている」というセリフを書くよりも「机を蹴り飛ばす」という行動を描写することで、怒りを自然でわかりやすく表現することができます。
ト書きの書き方
監督や撮影班、俳優たちはト書きをもとにカメラアングルや演技の指示を行うため、ト書きは非常に重要な役割を果たします。
ト書きを書くときは以下の点に注意しましょう。
1 明確な言葉で表現する
ト書きは、映像化するための基礎となる資料です。そのため曖昧な描写は撮影陣を困惑させてしまいます。ト書きは誰がどこで何をしているのか具体的に表現しましょう。
2 映像化できるのか意識する
「このト書きはきちんと映像化できるのか」を考えることも大切です。もちろんプロではないみなさんは予算のことを考える必要はありません。しかし動きに無理があったり、倫理的に問題のある表現などは必要性がない限り避けるようにしましょう。
3 メリハリをつける
ト書きは書きすぎればくどくなり、書かなすぎると味気なくなってしまいます。そこでシーンの目的や重要性に応じて、詳細に描写するところと簡潔に済ませるところのメリハリをつけましょう。そうすることで撮影班も「ここは重要なシーンなんだな」と脚本家の考えを汲み取ってくれます。
シーンの作り方
シーンはストーリーを構成する最小単位であり、視聴者の興味を引きつけるためには、それぞれのシーンが適切に構成されている必要があります。
以下にシーンを作る際に気をつけることを解説します。
1 目的を明確にする
シーンを作る際はそのシーンに目的を持たせることが大切です。
例えばストーリーの伏線を張るためにあるシーンや、登場人物の心理状態を表すためのシーンなど、シーンの目的を明確にすることでストーリーがわかりやすくなります。
ひとつのシーンに複数の目的があってわかりにくくなっている場合はシーンを分けてみたり、ストーリーの本質に関係がなかったり、ただ自分が気に入っているだけというシーンは思い切って削除しましょう。
2 視点を使い分ける
どのキャラクターの視点から物語を語るかによって、作品の雰囲気は大きく変わります。
例えば、主人公の視点から物語を語れば、観客は主人公に感情移入し共感を得ることができます。反対に、悪役の視点から物語を語れば、観客は悪役の考えや動機を理解できるようになり、物語の深みが増します。
また、視点を切り替えることで物語にリズムを与えることもできます。複数のキャラクターの視点で物語が展開する群像劇などは観客に新鮮な驚きを与え、人気のあるジャンルです。
しかし視点を変えすぎると、観客が混乱してしまうことがあるので十分気をつけましょう。
3 シーンの繋がりやバランスを確認する
ある程度シーンが書けてきたら、シーン単体だけでなくシーンどうしの繋がりやバランスにも気をつけましょう。
シーンの関係性やストーリーの流れ、登場人物の感情の流れが不自然ではないか、緊迫感あるシーンが連続して観客に疲れを与えてしまっていないかなど確認しましょう。
無駄なシーンは必要ありませんが、緊迫感のあるシーンの後に適度に笑えたり息抜きできるシーンを入れることは効果的です。
シナリオのスキルアップ方法
「シナリオを書いていても上手くならない」
「思うような作品が書けない」
「作品を書くのに時間がかかる」
このようなお悩みを抱えている方に向けて、この章ではより良いシナリオを書くためのスキルアップ方法をお伝えします。
作品のフィードバックをもらう
自分の書いた作品のフィードバックをもらうことは作品の改善や成長に不可欠です。
フィードバックをもらうことで、自分では気づかなかった課題点や問題が見つかったり、別の視点からの意見をもらうことで自分の作品を客観的に捉えることができます。
初心者は特に、自分の作品を誰かに評価されることに対して抵抗があるかもしれませんが、プロになるためには必須のプロセスです。
では以下で具体的にフィードバックをもらうコツや注意点を解説します。
1 適切な人に頼む
フィードバックをもらう相手は実際にシナリオを書いている人に頼むほうが好ましいです。
周りにそういう相手がいない場合はSNSを活用してコミュニティーに参加したり、シナリオを教えている大学や専門学校、スクールなどに入って、プロの脚本家に頼むのもいいでしょう。
2フィードバックは細かくもらう
ストーリー、キャラクター、構成など、フィードバックの種類を分け、それぞれについて評価してもらうことが望ましいです。
「ここのセリフはどう感じたか」「キャラクターの描写はどうだったか」などより具体的なフィードバックがもらいたい場合は、予め相手に伝えておくとより良いフィードバックが返ってくるでしょう。
3相手に感謝する
たとえ良い評価がもらえず、矛盾点や間違いを指摘されても、相手は時間や労力を使ってあなたの作品に意見をくれたのです。
フィードバックをくれた相手に対しては敬意を示しましょう。
自分は面白いと思って書いたものでも、相手には面白さが伝わらないことはあります。
それはとても辛いことですが、「なんで分かってくれないんだ!」ではなく「どうすれば伝わるんだろう」と考えるようにしましょう。
その前向きな思考があなたを成長させ、より良い作品を書く原動力になります。
学校で学ぶ
シナリオの書き方を教えている場所で学ぶことも上達する方法のひとつです。
実際にプロとして活動している講師から直接指導を受けられるので、プロからフィードバックをもらうことはプロの経験やノウハウが吸収できる絶好の機会です。
さらに同じ志を持つ仲間と出会えることも、書くことのモチベーションにもつながるというメリットになります。
ただし、学校で学ぶことが全てではなく、必ずしもコンテストで受賞できたりプロになれる保証があるわけではありません。
また学費や時間などの負担もあるため、自分の環境や性格をよく考えて学校選びを行う必要があります。
書き上げたシナリオをより完成度の高いものにしたいという方はこちら↓
作品を分析する
作品を書くことと同じくらい作品を見ることも大切です。
人気の作品には人気の理由があり、ある意味でシナリオの正解であり、これらをたくさん観ることで良いシナリオの基準を知ることができます。
成功している作品の構造や要素を把握して自分の作品を改善したり、比較して自分の作品の弱点や強みを発見することができます。
とはいえ、ただ観るのではなく分析しなければ学びにはなりません。
以下で作品分析のポイントや注意点を紹介します。
1 分析のポイント
作品を分析するときは以下のことに注視しましょう。
- ストーリーの構成や展開
- テーマやメッセージの伝え方
- 登場人物の設定やキャラクター性
- セリフの質や役割
- 視聴者や読者に与える印象や感情
基本的な分析方法としては、まず作品を見ながらシーンごとに場所、登場人物、出来事などを簡潔に書いた構成表を作ります。
構成表を作ることでストーリーの構成や転換点が見えてきます。
次に構成表をもとに、ストーリーの重要な部分を10個程度の箇条書きにします。
そうすることでストーリーのテーマやメッセージを理解することができます。
最後に構成表を見ながらもう一度作品を見返します。
その際にキャラクターやセリフなど細かいところに目を配り、「これが観客にどのような印象や感情を与えるのか」ということ意識しながら、より解像度を上げて作品を理解します。
この方法はあくまで一例に過ぎないので、これを参考にしながら自分なりにアレンジしてみてください。
2 作品の選び方
分析する作品は自分が書きたいジャンルやテーマの作品に絞ると効率よく分析できます。
ただし自分の好みで選ばず、苦手やつまらないと思った作品も幅広い作品を扱うことが大切です。
成功している作品には何かしらの理由があります。つまらないと感じた作品はどんなところがつまらないと感じたのかきちんと言語化することで、自分の目指す方向性が明確になります。
また、できれば分析をする前に観客として作品を観ておくことも大切です。
「ここが笑えた」「ここで感動した」など観客としての感情を持っていることで、マジックの種明かしのように「こうなっていたのか!」と実感を伴った分析をすることができます。
プロのシナリオを読む
書店やネットなどでプロの脚本家のシナリオを手に入れることができます。
プロのシナリオを読み自分の作品と比較することで、自作の問題点や自分に必要なスキルを発見することができます。
あなたの好きな脚本家のシナリオが手に入るなら、それを書き写してみることもスキルアップに繋がります。
特に実際の映像作品には映らないト書きは、シナリオ本でしか学ぶことができないので一冊は手元に置いておきましょう。
以下に手に入りやすくおすすめのシナリオブックを挙げておきます。
数々の名作を世に送り出す野木亜紀子さんのオリジナルドラマ。
連続ドラマながら1話完結なのでコンクールに応募する方にとって参考になるシナリオです。
社会問題を描く姿勢や、無駄のないセリフやト書きはお手本になります。
第33回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した生方美久さんによるデビュー後初作品。
心地良くも綿密に計算されたセリフ詞回しや繊細な心理描写はとても勉強になります。
『ジョゼと虎と魚たち』『カーネーション』などを手掛けた渡辺あやさんの民放初連ドラ脚本。
メディアや権力に対する批判や疑問を投げかけた意欲的な本作は、読んでいて背筋が伸びます。
『東京ラブストーリー』『最高の離婚』など長期にわたって第一線で活躍する坂元裕二さんの作品。
個性的なキャラクターどうしのやり取りを書かせたら彼の右に出るはいません。
キャラクターやセリフに悩んでいる方は参考にしてみてください。
5NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」完全シナリオブック 第1集
『白夜行』『天皇の料理番』『義母と娘のブルース』などの脚本で知られる森下佳子さんの手掛けた朝ドラのシナリオ。
半年間通して面白く、1ヶ月通して面白く、1週間通して面白く、1話だけでも面白い、森下さんの構成力が遺憾なく発揮された作品です。
シナリオ分析について詳しく知りたい方はこちら↓
書く習慣をつける
シナリオに関わらず、ものごとの上達には継続が大切です。
継続するためには書くことを習慣にしてしまうことが効果的です。
とはいえ、仕事や学校で時間が取れないみなさんはつい書くことを後回しにしがちです。
そこで書くことを習慣化するためのポイントを以下で紹介します。
1毎日書く
たとえ1文字も書けなくても、パソコンや机に向かって毎日書こうとすることが習慣化に繋がります。
初日や2日目は気が重いですが、1週間も続けると書くことのハードルが下がり書かないと気持ち悪いという状態になるでしょう。
また、書く時間や場所を同じにすることも効果的です。
さらに書く仲間と一緒にフィードバックをし合うなど、周りを巻き込むことも継続の原動力になります。
2目標を設定する
「書かなきゃ」と漠然としているとモチベーションが上がらず、「プロになって大金持ち」と大き過ぎる目標では挫折してしまいます。
「今月中に一作完成させる」「来年中にコンクールの最終選考に残って3年後にプロデビューする」など、目標は細かく具体的である方がイメージしやすく書くモチベーションが上がります。
3書けなかったときの対策をする
せっかく習慣化できても、何らかの事情で一度それが途切れてしまうと、再び書くハードルは上がってしまいます。
そこで「もし書けなかった日は映画を一作観る」など代替案を考えておくことで、書けなかったときのストレスは激減します。
また「何日もいいアイデアが浮かばない」という場合も原稿に向き合うハードルは上がります。
そんなときは「決めたことだから書かなきゃ」と気張らずに、一旦書くことから離れることも効果的です。
運動や買い物、趣味でリフレッシュすると再びモチベーションが上がる場合もあります。
プロのシナリオライターになるためにやるべきこと
ただシナリオを書くだけではプロの脚本家になることはできません。
自分のシナリオを他人に評価してもらい、仕事をもらうことでプロと名乗ることができます。
プロになるためにはライティング技術の他にも、様々な能力が必要になります。
そこで以下では、プロになるためにやるべきことや必要な能力を具体的に紹介します。
コンテストに応募する
プロになる王道はコンテストで賞を取ることです。
大賞に選ばれると自分の作品が映像化されたり、佳作や最終選考に残った場合でも誰かの目に留まればその後の仕事につながるきっかけにもなります。
また、コンテストは作品を人に見てもらう腕試しの場でもあります。
たとえ落選しても必ず自分自身のスキルアップに繋がるので、失うものより得るものも方が圧倒的に多いです。
「落ちたら嫌だな」と思わず積極的にコンテストに応募してみましょう。
・応募のコツ
コンテストによってテーマやジャンルが決まっているものがあります。それを踏まえながら例年の受賞作を分析しましょう。
感動する作品、笑えるもの、勢いやオリジナリティのあるものなどコンテストによって受賞作品の傾向を理解しておくと有利になります。
また、コンテストには多くの作品の応募が集まります。
その中でいかに自分の作品が目立つかを考えることも大切です。新しいアイデアや舞台設定を取り入れるなど、周りとの差別化できるような工夫をしましょう。
・応募の注意点
応募の際は期限や枚数制限をきちんと守ることはもちろん大切ですが、誤字脱字のチェックは応募直前まで行うようにしましょう。
誤字脱字はどれだけ気をつけていても多少はあるものですが、あまりにも多いと審査員にストレスを与えたり「自分の作品を大事にしていない」という印象を与えてしまいます。
完成した作品は第三者に読んでもらうなどして、極力誤字脱字のない原稿を提出しましょう。
シナリオコンクールについて詳しく知りたい方はこちら↓
多くの作品に触れる
作品を観ることはライティングの上達に必要不可欠であることはスキルアップについての章でもお伝えしました。
ここではトレンドをおさえる、制作スタッフとのイメージ共有という2つの視点からお伝えしたいと思います。
・トレンドをおさえる
どれだけ面白い作品を書いていても、時代遅れの題材を扱っていてはコンテストなどではどうしても目立つことができません。
そこで人気作品や新作に触れ、現在はどんなものが観客に受け入れられるのかというトレンドを知ることが必要になります。
トレンドを理解した上で「それでもこれが書きたい」というものがあれば、それを貫くのもいいと思います。しかしプロになりたいのであれば、トレンドを取り入れた作品に挑戦する姿勢は大切です。
・イメージ共有しやすい
あなたがプロの脚本家になると、スタップとの打ち合わせの機会があります。
そのときに多くの作品(特に古典)を観ていると「ローマの休日みたいなイメージの作品が書きたいんです」と実際の作品を例にイメージを伝えることができます。
また反対に「日本版の愛の不時着が作りたいんですよ」などとスタッフ側からイメージを伝えられることもよくあります。
そのときにその作品を観ていないとイメージの共有ができません。
そういった意味でも、古典作品や名作と言われる作品は教養として観ておくことをおすすめします。
自己プロデュース力の向上
プロの脚本家として生計を立てていくには、自己プロデュース力が必要になります。
自己プロデュース力とは自分の強みを理解してそれを人に売り込んだり、身体やメンタルを管理する能力のことを指します。
シナリオを映像作品として完成させるには多くの人やお金が動きます。
そんな大きなプロジェクトに自分が選ばれ、円滑に仕事を進めていく上で重要なことをお伝えします。
・自己認識
「脚本家として伝えたいテーマが明確にある」「セリフや構成が得意」「どんな注文にも対応できる」など自分の強みを理解し他との差別化できていれば、あなたの強みを欲しているプロデューサーから声がかかることもあるかもしれません。
・計画性
プロになると常に原稿の締め切りに追われる生活が続きます。間際になっても原稿に取り掛からなかったり、締切を守らなかったりと計画性のない脚本家に仕事は来ません。
プロになる前から常に具体的なスケジュールやタスクを設定し、管理する癖を身につけておきましょう。
・企画力
プロの脚本家はアイデアを形にする企画力が求められます。
日頃から映画やドラマ、小説などを読んだり、社会のニュースをチェックしながらアイデアを溜めておきます。
そして「どんなものが観客に受けるか」「どんな層に届けたいか」を意識しながらアイデアを形にしていきます。
そのためマーケティングや企画書、資料を作成する能力も持っているとベストです。
・プレゼン力
形にした企画をプロデューサーに面白いと思ってもらえなければ、作品にはなりません。
「この作品は誰のどんな話で、観客に何を伝えたいのか」常に自分の作品をわかりやすく伝える訓練をしておきましょう。
ネットワークの構築
ネットワークを構築して業界の人と繋がりを持っておくことも、プロになる前やなってからも重要です。
日常的にSNSで交流したり、業界内のイベントやセミナーなどに積極的に参加することでシナリオ制作における情報が手に入るだけでなく、知人のコネクションによって仕事をもらえる可能性もあります。
ただし、しつこくメッセージを送ったり、過度な営業をするといった失礼な態度は避けましょう。
一方的に求めるのではなく、相手の立場や時間に十分配慮して、相手にとってもメリットがあるような情報提供やアイデアの共有を心がけるといい関係を築くことができます。
また、業界の人に直接コンタクトを取る場合は、コンテストに入選するなど一定の実績を積んでおくとアポイントメントを取りやすくなるでしょう。
シナリオのトレンドや最新情報
シナリオの作り方や形式は常に変化しています。
そこで最後に、現在のシナリオのトレンドや最新情報を紹介します。
インタラクティブシナリオの増加
インタラクティブシナリオとは、視聴者が物語の進行を自ら操作することができる、映像コンテンツの新しい形態です。
主にゲームのシナリオで用いられることが多く、日本では「リアル脱出ゲーム」が有名です。
これまでのシナリオ作品は一方通行であったのに対して、インタラクティブシナリオは、視聴者の選択に応じて物語が変化するため、より深いエンゲージメントが生まれます。
しかし、インタラクティブシナリオには作り手が抱える問題点も多くあります。
例えば、ストーリーの複雑化や、多岐にわたる選択肢の提供が必要であるため、制作に時間や労力が必要になります。
また、ストーリーの流れが不自然になったり、ユーザーの意図しないエンディングを迎えることでストーリーの意図を誤解されるリスクもあります。
このため、作り手はシナリオの流れや選択肢の提供方法について、より慎重に検討する必要があります。
AIを活用したシナリオの自動生成
最近では、AI技術を活用して、シナリオの自動生成が試みられています。
AIが分析した映画やドラマのストーリー構成やキャラクターの行動パターンを元に、新たなストーリーを自動生成することができます。これにより、シナリオライターがアイデアを出す際の時間短縮やアウトプットの幅の広がりが期待されています。
しかし自動生成されたシナリオは、まだ人間によるものと比べてクオリティが低いという問題や、著作権侵害などの問題を引き起こす可能性があるといった倫理的な問題も抱えています。
フランチャイズ展開
フランチャイズ展開とは、1つのストーリーやキャラクターを基に、複数のコンテンツを展開することを指します。
例えば「スター・ウォーズ」は1977年に公開されたSF映画ですが、その後続編やスピンオフ作品が制作され、今でも多くのファンがいる人気シリーズとなっています。また、商品展開も盛んで、グッズや玩具、ゲームなどが多数発売されています。
日本でも「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンボール」「ポケモン」など多くのフランチャイズ展開の作品があります。
フランチャイズ展開の作品は、そのほかの作品と比べてストーリーやキャラクターの世界観にオリジナリティを求められます。また作品を展開するにあたってそれらを踏襲しながら、新しいアイデアを加えなければいけません。そのため作品の質を維持し続けるのは容易ではありません。
ソーシャルメディアの活用
映画やドラマの宣伝手法に、ソーシャルメディアが活用されることが増えています。特に若年層をターゲットにした作品においては、SNSなどを利用して視聴者とのコミュニケーションを積極的に取ることで、作品の意見交換やフィードバックの収集など、作品の改善につながる情報を得ることができます。
一方で、ソーシャルメディアは悪意あるコメントや誹謗中傷などのトラブルが起こりやすい場所でもあるため、その都度適切な対応が求められます。
結論:何を伝えたいのか
この記事ではシナリオの基礎知識から、シナリオの書き方や上達法、プロになるために必要なことなどを解説してきました。
あなたがこれからシナリオを書く上で最も重要なことは「何を伝えたいのかを明確にすること」です。
シナリオを書いていると上手くいかなかったり、評価されない日々が長く続きます。
しかし「この作品であなたは何を伝えたいのか」「あなたはプロの脚本家になって多くの人に何を伝えたいのか」
これさえはっきりしていれば、あなたは書き続けることができますし、やがてプロになれるでしょう。
とはいえ、これからシナリオを書いていこうと考えている初心者の皆さんは、それが何なのかわからないと思います。
それを見つけるためには「多くの作品を観ること」「多くの作品を書くこと」の2つに尽きると思います。
作品を観て「なぜ面白いと感じたか」「なぜつまらないと感じたか」を深掘りすることで、自分の伝えたいことがはっきりしてきます。
そしてあなたの感じる面白さを作品にアウトプットすることで、それがより具体的になっていきます。
「何を伝えたいのか」これを常に自分に問いかけながら、これからもシナリオに取り組んでいきましょう。
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