みなさんこんにちは、ムービー3分クッキングの時間です。
今回は「脚本のテーマの選び方」について書いていきます。
というのも、
- 脚本を書きたいけど何を書けばいいのかわからない!
- どんなテーマを扱うのが正解なの?
といった相談を受けることが多くあるからです。
好きなものを書けばいいじゃん
確かにそれはある意味その通りです。しかしコンクールで賞を獲りたいと思うと、テーマ選びはより難しく感じてしまいます。
かく言うわたしも、好き放題に書いた作品がコンクールの一次審査にも通らず、今度は背伸びして自治ネタやトレンドのテーマを扱って、びっくりするほどつまらない作品を書いてしまった経験があります。
そこでこの記事では、
- 脚本を書き始めたは良いけどテーマ選びに悩んでいる
- どんなことを書けば良いのかわからない
- 自分の書いている作品のテーマ選びが上手くいってない気がしている
という人に向けて、「こんなテーマで脚本を書こう!」という考え方をお伝えしようと思います。
あなたが今までの人生で一番印象に残った出来事からテーマを見つけよう
初めに結論をお伝えします。
あなたが一番書きやすいテーマで勝負するべし!
というのがわたしの考えです。
これだけではさっぱり意味がわからないと思うので、これから細かい説明やその理由を掘り下げていきます。
新しいテーマにはリサーチが必要
プロの脚本家は現代の社会が抱えるテーマを上手く作品に落とし込んでいます。
そういう作品を目にすると自分もそういったテーマを扱うべきなのかと思ってしまいますが、その考えはかなり危険です。
プロの脚本家は書きたいテーマについて膨大なリサーチをしています。
たくさんの関連書籍を読んだり、専門家に取材したり、アンケートを採ったりと、執筆よりリサーチに力を入れる脚本家も多くいます。
書こうと思ったテーマについて徹底的にリサーチし、深掘りした結果として、人々の胸を打つ作品が出来上がっているんです。
しかし、仕事や学校など生活の合間で脚本を書いているみなさんにそんな時間あるでしょうか?
わたしも仕事をしながら脚本を書いているのでわかりますが、かなり厳しいと思います。
興味のある分野についてリサーチを始めると、
- 時間ばかり取られていつまでも脚本を書けない
- 書いても薄っぺらい作品ができあがる
こんな事態によく陥っていました。
なのでその分野に余程の情熱がない限り、特に初心者のうちは、流行りのテーマで作品を書くことは避けた方がいいと思います。
リサーチが終わっているテーマを選ぶ
ではどうすれば良いのかというと、
リサーチする必要のないテーマを選ぶ
これが良いと思います。
具体的には、
あなたが今までの人生で一番印象に残っている出来事について書く
ということです。
人は誰にでも何かに心を動かされたことがあると思います。
- あなたが実際にした体験
- 壁にぶち当たった苦労
- 障害を乗り越えるためにした努力
- それらを乗り越えた時の喜び
これらには本を読んだり取材することでは得られないリアリティがあります。
誰かの真似をしたようなストーリーではなく、初心者でも血の通った作品を書くことができます。
足りない部分は後からリサーチして補う
とはいえ、印象に残った出来事をそのまま書けば脚本家になれるなら苦労しません(コンクールで賞を獲るだけ目的なら不可能とは言い切れませんが)。
実際、コンクールに応募される作品はたくさんありますし、テーマというのはそう多くのバリエーションがあるわけではありません。
中には自分と同じようなテーマを扱う作品もあると思います。
そんな中であなたの作品が頭一つ抜けるためには、
- 足りない部分をリサーチして補う
- キャラクター造形や設定、構成などを工夫する
を行う必要があります。
結局リサーチかよ!
と思うかもしれませんが、リサーチで何より一番苦労することは感情的なリアリティを掴むことです。
作品のリアリティには設定のリアリティと感情的なリアリティがあると考えています。
設定のリアリティは本などで知識として得られますが、感情的なリアリティは何度も取材をしたり実際に体験しなくては得ることができません。
しかし、あなたすでにそれを掴んでいる状態です。これは大きなアドバンテージです。
なので、あとはそれを上手く表現するために必要な知識を調べて作品に取り入れれば、間違いなく他の人と差がつくとわたしは考えています。
80%の状態で他の作品に埋もれてしまうのは勿体無いと思います。それを限りなく100%に近づけ、さらに一段上の作品にする努力をする価値はあると思います。
まとめ
最後にまとめです!
- 脚本を書くには膨大なリサーチが必要。しかし初心者にそれは難しい。
- そこでリサーチのいらない「人生で一番印象的な出来事」について書くことをおすすめする。
- しかし出来事をそのまま書くだけでは脚本家にはなれない
- 必要な部分をリサーチで補い、脚本の技術を学んで他の作品との差をつけよう
【補足】自分が強く関心のあるテーマなら挑戦するのもあり
今回は「リサーチのいらないテーマで書こう」という話をしました。
しかし、
- 恥ずかしくて書きたくない
- 想いが強すぎて上手く書けない
- 既に書いてしまった(中級者)
このような人も意外といると思います。
そういう人が新たなテーマについて書くのもひとつの手だと思います。
しかしその場合は「自分が強く関心のあるテーマ=リサーチが苦じゃない分野」を選ぶようにしてください。
例え失敗してもそれはそれで価値のあることです。迷っているならチャレンジしてみましょう。
テーマに関する参考書籍
最後にテーマについて書かれた書籍を紹介しておきます。
- 関心のあるテーマに挑戦しようと思っている
- もっとテクニック的なことを知りたい
そんな方にとっては参考になると思います。
この本は曖昧で抽象的なものとして捉えられがちなテーマについて踏み込んで考察されています。
曖昧で抽象的だと思われがちなテーマというものをキャラクターやプロットと同列に扱って、テーマがいかに作品にとって重要で、キャラクターやプロットとどう関係しているかが書かれています。
今回触れられなかったテクニック面についてもたくさん書かれているので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
以上、「脚本のテーマの選び方」でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました!