映画『ウィキッド ふたりの魔女』が2025年3月7日に日本で公開されました。本作は2003年にブロードウェイで初演されて以来、全世界で6500万人以上の観客を魅了しています。100以上の演劇賞や音楽賞を受賞し、2025年のアカデミー賞では10部門ノミネート&2部門で受賞しました。
この記事では、映画『ウィキッド ふたりの魔女』の作品情報やあらすじ、考察すべきポイントについてまとめました。記事を読めば、本作をより深く理解できます。まだ観ていない方は、劇場に足を運びたくなること間違いなしです。
『ウィキッド ふたりの魔女』の作品情報

『ウィキッド ふたりの魔女』の作品情報は以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
タイトル | WICKED(ウィキッド) |
初演 | 2003年(ブロードウェイ) |
原作 | グレゴリー・マグワイアの小説『Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West』 |
監督 | ジョン・M・チュウ |
作詞・作曲 | スティーヴン・シュワルツ |
脚本 | ウィニー・ホルツマン |
『ウィキッド ふたりの魔女』の主要キャスト

『ウィキッド ふたりの魔女』の主要キャストを以下にまとめました。
役名 | 説明 | 初演キャスト | 映画版キャスト |
---|---|---|---|
エルファバ | 緑色の肌を持つ魔女。後に「西の悪い魔女」と呼ばれる。 | イディナ・メンゼル | シンシア・エリヴォ |
グリンダ | 明るく美しい魔女。後に「北の良い魔女」と呼ばれる。 | クリスティン・チェノウェス | アリアナ・グランデ |
フィエロ | ウィンキー国の王子で、エルファバとグリンダの両方と関わる。 | ノーバート・レオ・バッツ | ジョナサン・ベイリー |
マダム・モリブル | シズ大学の学長で、魔法使いの側近。 | キャロル・シェリー | ミシェル・ヨー |
オズの魔法使い | オズの国の支配者。 | ジョエル・グレイ | ジェフ・ゴールドブラム |
劇団四季による日本公演でも、多くの実力派俳優がエルファバ役やグリンダ役を演じてきました。 特にエルファバ役は、演技力と歌唱力の双方が求められる難役として知られています。
『ウィキッド ふたりの魔女』のあらすじ

物語の舞台は「オズの国」。人々は「西の悪い魔女」エルファバの死を歓喜し、善良な魔女グリンダを称えていました。しかし、グリンダはかつての友人エルファバとの記憶を思い出し、物語は二人の過去へと遡ります。
緑色の肌を持つ少女エルファバは、幼少期から人と違う外見のために疎まれてきました。一方、グリンダは美しく社交的で、みんなの人気者。二人は大学で出会い、最初は対立するものの、やがて友情を育んでいきます。
やがてエルファバは、オズの支配者である「偉大なる魔法使い」に会う機会を得ます。しかし、彼の真の姿を知った彼女は、理不尽な社会の在り方に抗い、「悪い魔女」として追われることに。そして、エルファバとグリンダの運命は決定的に分かれていきます。
本作は「善」と「悪」の概念を揺るがし、運命に抗う二人の魔女の成長と葛藤を描いた物語といえます。
『ウィキッド ふたりの魔女』の考察

『ウィキッド ふたりの魔女』の考察すべきポイントは、以下の4つです。
- 善と悪の境界とは?
- エルファバとグリンダの対比と成長
- エルファバの緑の肌が象徴するもの
- 「Defying Gravity」の意味
考察①:善と悪の境界とは?
本作の最も大きなテーマの一つが「善と悪とは何か?」という問いです。エルファバは作品の冒頭で「悪い魔女」として語られます。しかし、物語が進むにつれてそのレッテルがいかに表面的なものかがわかっていきます。
エルファバは、弱い者を助け、不正に立ち向かう正義感の強い女性です。しかし、社会は彼女を異質な存在として排除し、魔法使いの権力に逆らう彼女を「悪」と決めつけます。一方でグリンダは、人々から「善」とされていますが、彼女自身もエルファバとの友情や名声の間で揺れ動きます。時には自己保身のために偽善的な行動も取るのです。
この物語は、単純な勧善懲悪ではなく、「善と悪は立場によって変わる」という現実を映し出しています。善悪とは何かを問いかけることで観客の価値観を揺さぶるのが、本作の魅力の一つです。
考察②:エルファバとグリンダの対比と成長

エルファバとグリンダは、性格も価値観も対照的なキャラクターです。しかし、彼女たちは互いに影響を与え合い、それぞれ成長していきます。エルファバは社会に適応しようとしますが、次第に自分の信念を貫く道を選びます。最愛の人や友人を失い、悪のレッテルを受け入れながらも、自分自身の生き方を貫きます。
対してグリンダは、自己中心的で名声を求める人物でした。しかし、エルファバとの友情を通じて真の善とは何かを考えるようになります。自らの力を政治に利用しながらも、それが本当に「正しい選択」だったのか悩みます。最終的にグリンダは、自分の信じる「善」を選び、エルファバを思いながら生きる道を選びました。
二人を「完璧な正義の味方」とも「完全な悪」とも描かないのが本作の特徴です。人間らしい葛藤を抱えた二人のリアルな心の動きが、観る者の共感を呼ぶ作品になっています。
考察③:エルファバの緑の肌が象徴するもの
エルファバの特徴的な「緑色の肌」は、彼女が社会の中で異端視される象徴的な要素です。彼女の肌の色は単なる外見的な違いではなく、「異質なもの」に対する社会の扱いを端的に示しています。彼女は幼少期から差別され、父親にも疎まれていました。しかし、彼女の力が求められる時だけ、人々は彼女を利用しようします。
この構図は、現実社会のマイノリティが直面する問題とも重なります。物語が進むにつれ、エルファバは「自分の色」を受け入れて誇りに思うようになります。これは「自分らしく生きる」ことの大切さを伝えるメッセージだと理解できます。
考察④:「Defying Gravity」の意味

劇中歌「Defying Gravity」は、本作のテーマを象徴的する楽曲です。エルファバの決意を示す場面で歌われます。「Defying Gravity」とは「重力に逆らう」という意味です。単に空を飛ぶことだけでなく、「社会の抑圧に屈しない」や「自分の運命を自分で切り開く」という強い意志を表しています。
この曲を歌うシーンで、エルファバはグリンダと別れを決意し、自らの道を歩むことを宣言します。彼女の「飛翔」は、単なる魔法の力ではなく、精神的な自由への飛躍を意味しているのではないでしょうか。
『ウィキッド ふたりの魔女』 に関するよくある疑問

『ウィキッド ふたりの魔女』 に関するよくある疑問を以下にまとめました。
エルファバは生きてる?
エルファバは最後まで生きています。物語の終盤、エルファバは「水に弱い」という噂を逆手に取り、自らが水を浴びて「消えた」ように見せかけます。しかし、実際にはフィエロと共に密かにオズを去り、新たな人生を歩み始めるのです。
この展開は「真実は必ずしも見た目通りではない」 という本作のテーマともリンクしています。エルファバが「西の悪い魔女」として誤解され続けながらも、自由を手に入れる象徴的なシーンです。
『ウィキッド ふたりの魔女』の結末は?
本作はエルファバとフィエロがオズの国を離れて、新たな人生を歩み始めるという結末です。グリンダはオズの統治を任され、魔法使いとマダム・モリブルを追放します。エルファバは世間から「西の悪い魔女」と見なされますが、物語の最後で彼女が生き延び、フィエロと共に新たな道を歩むことが明らかになります。
本作は2部作として制作されています。前編はエルファバが「Defying Gravity」を歌い、自由を求めて飛び立つ場面で終了しました。後編では、エルファバとグリンダの友情や対立、そしてエルファバの運命が描かれる予定です。
まとめ:『ウィキッド ふたりの魔女』が伝えるものとは

この記事では、『ウィキッド ふたりの魔女』に関する情報をまとめました。本作は見た目や先入観で「善悪」を決めることの危険性を描きながら、社会の理不尽さや友情を通した成長、自己受容の大切をテーマにした作品になっています。
本作は単なるミュージカル映画ではなく、私たちの生きる世界にも通じる深いメッセージを持っています。「悪」とされた者の真実や「善」とされた者の葛藤が描かれ、立場が変われば見える景色も変わることを、観客に伝えたかったのではないでしょうか。
本作をまだ観ていない方は、ぜひ劇場に足を運んでみることをおすすめします。一度観た方は作品を思い出しながら、善悪について考えてみてください。