- 脚本の書き方やルールが知りたい
- 面白い脚本を書くコツが知りたい
- 効果的な勉強法が知りたい
面白い物語作品に触れたとき、自分も書いてみたいと考える方は多いです。しかし、脚本の書き方やルールがわからずに断念してしまう方もいます。この記事では脚本の書き方やルール、面白い脚本を書くコツについて解説します。
脚本はポイントやコツをおさえれば、誰でも書くことが可能です。この記事を読めば、初心者でも面白い脚本を書けるようになります。この記事の内容を参考に、プロの脚本家への第一歩を踏み出してください。
脚本とは演劇や映画、テレビなどのために書かれた台本のこと
脚本とは、演劇や映画、テレビなどのために書かれた台本のことです。監督や俳優、スタッフが制作を進める設計図として機能するため、脚本家は非常に重要な役割を担っています。小説とは形式が異なるため、脚本を書く際は形式やルールを理解しておく必要があります。
脚本を構成する要素は通常、柱書き、セリフ、ト書きの3つです。柱はシーンの設定、セリフは登場人物の台詞を記述します、ト書きは登場人物の動作や場面の状況を説明します。現在形で簡潔かつ客観的に記述され、視覚的・聴覚的情報が重視されます。
»脚本の役割や目的を詳しく解説!
脚本の書き方のルール
脚本は観客以前に作品を制作する人々のために書かれるため、独自のルールが存在します。本章では脚本の書き方のルールついて、以下の3つを解説します。
- 柱のルール
- ト書きのルール
- セリフのルール
柱のルール
柱きは、各シーンの冒頭に書かれることが一般的です。シーンの場所や時制を簡潔に示す重要な役割があります。柱のルールは次のとおりです。
- 文頭に〇をつける
- 場所と時間を明記する
- シーン間は1行空ける
- 回想シーンは(回想)と(回想終わり)など明確に区別する
例として、【○学校・教室(夕)】のように記述してください。以上のルールを守ることで、製作陣は瞬時にシーンを理解でき、スムーズなスケジューリングやセッティングが可能になります。ラジオドラマなどの音声作品では柱を必要としない場合もあるので注意してください。
ト書きのルール
ト書きでは登場人物の行動や場面の様子を描写します。主なルールは次のとおりです。
- 3マス下から書く
- 現在進行形で書く
- 感情描写は避け、動作の描写にとどめる
ト書きを書く際は、カメラワークを意識することがポイントです。過去形で記述しても映像で表現することはできません。感情描写も同じです。映像で表現できないト書きは避け、人物の表情やシーンを工夫して登場人物感情を表現する工夫をしてください。
ト書きは簡潔に書くことを心がけましょう。過度な描写はせず、俳優や製作陣に想像の余地を持たせること大切です。
セリフのルール
セリフでは登場人物の言葉を表現します。登場人物の個性や物語の展開を直接的に表現する重要な要素です。主なルールは以下のとおりです。
- 「」(かぎかっこ)で囲む
- 話者の名前を明記する
- セリフの終わりに句読点はつけない
- セリフと心情は()で区別する
- セリフ内のセリフは『』(二重かぎかっこ)を使用する
- セリフ途中での改行は避ける
例として、太郎「おはようございます」のように記します。セリフを書く際は、キャラクターの個性や状況に応じた自然な言葉遣いを心がけましょう。実際に俳優が声に出すことを想定して書くことも重要です。難しい言葉や発音しずらい言葉は避けてください。一度書いたセリフを声に出して読んでみるのも効果的です。
また、太郎「(明るく)おはようございます」のように、セリフ内にト書きを加える手法も存在します。俳優に演技の指針を与える効果がある一方で、書き過ぎには注意が必要です。セリフ内のト書きは最低限にとどめ、長くなる場合はト書きとして書くようにしましょう。
»上手なセリフの書き方やよくある失敗を解説!
脚本の書き方5ステップ
面白い脚本を書くには、思いついたアイデアを膨らませ、魅力的な物語に仕上げる必要があります。脚本を書く手順は以下の5つです。
- ログラインを書く
- アウトラインを作成する
- エピソードを充実させる
- 脚本を執筆する
- リライトする
ログラインを書く
ログラインとは、脚本の内容を1文で表したものです。魅力的なログラインを書くには、物語の核心を捉え、読み手の興味を引くアイデア力が求められます。ログラインには主に以下の要素を含めましょう。
- 主人公の設定
- 対立する存在(敵やライバル)
- 脚本のジャンル
例えば、「臆病な高校生が、突如現れた宇宙人との友情を通じて勇気を見出すSFコメディ」というようなものです。ログラインは脚本を書く際の道標となり、ストーリーの核を明確にするのに役立ちます。
ログラインを決めていなかったり曖昧だったりすると、散漫で退屈なストーリーになりがちです。途中で変更しても構わないので、最初にログラインを決めることを心がけてください。好きな作品をログラインにする作業は、魅力的なログラインを買う練習としておすすめです。
アウトラインを作成する
ログラインができたら、次はストーリーの骨格となるアウトラインを作成します。主要なエピソードを順番に並べ、物語の流れを組み立てます。このとき、起承転結や三幕構成などの基本構造を参考にすると良いでしょう。必ずしも詳細に書く必要はありません。アウトラインに必要な要素は以下の通りです。
- 主人公の目的や葛藤
- 物語の世界観
- ストーリーの転換点
- ストーリーの結末
アウトラインの作成は大まかな流れを把握し、物語全体のバランスを確認する目的があります。物語の矛盾点や弱い部分を発見し、適宜修正を加えていきましょう。
プロットを書く
アウトラインができたら、より詳細なエピソードを肉付けをしていきます。キャラクターの行動や感情、場面の詳細な描写を加え、物語に深みを持たせてください。具体的なセリフやト書きを考え始めるのもこの段階です。キャラクターの個性が際立つようなセリフや、印象的な場面展開を考えることで、物語全体の魅力が増していきます。
プロットを書く際は、以下を意識しましょう。
- 固有名詞
- 登場人物の目的
- ストーリーの転換点
- 主人公の感情の変化
人物名や作品の舞台となる地名、重要な組織や集団名は決めておきましょう。プロットの文字数は作品の長さによって異なりますが、一般的にサブストーリーや脇役まで説明できる800字が目安です。ストーリーの本筋と関係ないエピソードや、曖昧な表現は避けてください。
»脚本のプロットの書き方を詳しく解説!
ステップ4: 脚本を執筆する
プロットが完成したら実際の脚本を書き始めましょう。セリフやト書きなど、脚本のフォーマットに従って執筆します。脚本を執筆する際は、以下を意識してください。
- 5W1H(いつ/どこで/誰が/どのように/何を/どうしたか)を明確にする
- 読みやすさを意識し、曖昧な表現避ける
執筆中に新しいアイデアが浮かんだり、構成の矛盾に気づいたりすることも多いです。必要に応じてプロットやログラインに立ち返り、柔軟に修正を加えてください。
ステップ5: リライトする
リライトは脚本を書くうえで重要な作業です。一度脚本を書き上げただけでは完成ではありません。脚本を読み返し、必要に応じて修正を加えてください。読み返す際は、以下の点に注意してください。
- 誤字脱字
- セリフの自然さ
- 物語の一貫性
- テンポの良さ
リライトを行う際は、脚本を第三者に読んでもらい、フィードバックを得るのも効果的です。脚本の質を高めるため、リライトは複数回行いましょう。さまざまな観点で作品を見直し、より良いものに仕上げてください。
»脚本のリライト方法を詳しく解説!
面白い脚本を書くコツ
面白い脚本を書くためには、ルールを守るだけでなく、読者や観客を引き込む魅力的な要素が必要です。より面白い作品にするため、以下の3つをおさえてください。
- キャラクターを重視する
- 新しさを加える
- 構成を意識する
キャラクターを魅力的にする
面白い作品に欠かせないのが魅力的なキャラクターです。特に主人公の存在は重要になります。共感を得られない主人公だと、面白いストーリー展開でも観客が興味を失う原因になります。魅力的なキャラクターを作る方法は以下のとおりです。
- 長所と短所をつくる
- 深みのある背景を持たせる
- 困難な状況に置く
初心者のうちは何でもできる、あるいは何もできないキャラクターを登場させがちです。欠点や長所が1つだけあるようなキャラクターにすると、魅力が増してストーリーにも奥行きが生まれます。登場人物の過去を掘り下げることも、キャラクター作りにおいて重要です。
キャラクターの性格を形成した出来事を設定しておくと、セリフや行動に説得力が生まれます。登場人物を困難な状況に置くことも観客の共感を得る方法の1つです。「この困難どうを乗り越えるのか」という期待感が生まれ、物語に引き込まれやすくなります。
»魅力的なキャラクターの作り方を詳しく解説!
新しさを加える
観客を惹きつける作品を書くためには、既存の作品とは一線を画す新鮮さが必要になります。作品に新しさを加えるには以下の方法が効果的です。
- よくある設定を逆転してみる
- あまり知られていない要素を加える
- 最近の話題や新しいテクノロジーを組み込む
- 異なるジャンルを融合させる
- 視点を変える
よくある設定を逆転すると、観客に新しい印象を与えられる場合があります。例えば、弱小チームが優勝する代わりに強豪チームが最下位になる物語など、予想外の展開を考えることで新たなアイデアが生まれるかもしれません。
あまり知られていない職業や環境を加えたり、今話題の社会問題やテクノロジーを扱ったりするのも効果的です。SFとラブストーリーを組み合わせるなど、異なるジャンルを組み合わせることで新鮮が生まれる場合も多いです。脇役や敵役の視点から物語を描けば、新鮮かつ深みのある作品になります。
アイデアは急に思いつくようなものではありません。日頃から作品の構想を練ったり、多くの作品を観る中で感じたことをメモしておく習慣を身に付けましょう。
構成を工夫する
脚本における構成とは物語を効果的に展開させるための骨組みのことです。魅力的なキャラクターや斬新なアイデアがあっても、構成が単調だとつまらない作品になります。面白い構成にするには、以下を工夫してみましょう。
- インパクトのある冒頭にする
- 三幕構成を意識する
- シーンの順番を入れ替える
作品の冒頭シーンはとても重要です。時系列にシーンを描くよりも、主人公が事件に巻き込まれるシーンを冒頭に描くことで、より観客の関心を引けます。ストーリー展開の王道である三幕構成を意識することも大切です。初心者のうちから斬新な構成を探求することはリスクが伴います。
まずは「設定→展開→解決」の基本的な流れをおさえるのが賢明でしょう。シーンの順番を入れ替えることで作品のテンポが良くなる場合もあります。緊張と緩和を意識し、観客の興味を持続させましょう。やり過ぎるとまとまりのない印象になるので注意が必要です。
»三幕構成の基本やストーリーの作り方を詳しく解説!
脚本の書き方に関するよくある質問
本脚本の書き方に関する質問をまとめました。以下で回答していきます。
脚本の書き方を勉強する方法は?
脚本の書き方を勉強するには、以下の方法が効果的です。
- 優れた脚本や関連書籍を読む
- 映画やドラマを分析する
- 脚本の講座やワークショップに参加する
- 実際に脚本を書く
シナリオブックで映画やドラマの脚本を読めば、プロの脚本の書き方が学べます。脚本術が書かれた書籍で構成やセリフの書き方を学ぶのも効果的です。配信サービスなどを活用して作品を分析することも、多くの学びが得られます。
»脚本の分析方法を詳しく解説!
プロの脚本家から直接指導を受けられる機会があれば、参加してみましょう。実践的なアドバイスや、業界の最新トレンドを学べます。オンラインでの講座も増えているので、自分のペースで学習を進めるのも魅力です。実際に脚本を書くことも忘れてはいけません。
短編から始めて、徐々に長編に挑戦していくのがおすすめです。書く過程で直面する問題や疑問が、次の学びにつながります。書いた脚本は必ずリライトしましょう。友人や脚本仲間から感想やアドバイスをもらうことで、自分では気づかなかった視点や改善点を発見できます。
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脚本の回想シーンの書き方は?
回想シーンの書き方は以下のとおりです。
- 回想の開始と終了を明確に示す
- 視覚的な手がかりを提供する
- 時間や場所の変化を明記する
回想シーンを書く際は(回想)や(回想終わり)など、開始と終わりを明確にしてください。「画面がぼやける」や「セピア調に変化」などのト書きを入れる場合もあります。「10年前、主人公の実家」のように、時間と場所を明確にすることも大切です。
読み手や制作スタッフは瞬時に回想シーンだとわかるような書き方をしましょう。
脚本のカットバックの書き方は?
カットバックとは、複数の場面を交互に描写する技法です。電話シーンやサスペンスの追跡シーンなど、複数の視点から同時進行の出来事を描写する際に使用されます。カットバックは以下のように書いてください。
- 柱やト書きにカットバックと明記する
- 関連のある2つ以上のシーンを交互に配置する
カットバックを上手く活用することで、物語にリズムと深みを与えることができます。
まとめ
脚本とは演劇や映画、テレビなどの台本のことで、制作の設計図として機能します。脚本は柱書き、セリフ、ト書きの3要素で構成されています。脚本を書く際は次の5つのステップを行いましょう。
- ログラインの作成
- アウトラインの作成
- プロットの執筆
- 脚本の執筆
- リライト
魅力的な脚本を書くには次の3つを意識してください。
- キャラクターの魅力を高める
- 新しさを加える
- 構成を工夫する
脚本家としての道のりは長いです。時には困難に感じるかもしれませんが、諦めずに継続することが成功への近道です。自分の作品に誇りを持ち、常に新しいことを学ぶ姿勢を持ち続けてください。この記事を参考に、あなたの物語が多くの人々に感動を与える日が来ることを願っています。